目次
1. 開催概要
EDF (Environmental Defense Fund: 環境保護基金)は、漁業に係るデータ収集のための新技術と創造的な解決策について情報共有を図るべく、米国時間2021年9月15日夕、日本時間では9月16日朝にオンラインワークショップを開催した。『資源評価のための創造的なアプローチと新たなツール』との主題の下に日米の専門家が集まり、画期的な改正漁業法の根拠や状況、また、データ不足下での資源評価手法や、資源評価のためのデータ収集を容易にする人工知能(AI)を用いたカメラなどの新技術について議論が行われた。本ワークショップには、EDFや米国海洋大気庁(NOAA)、日本の水産研究・教育機構(FRA)の代表をはじめ、国や県の研究機関に所属する科学者、テクノロジーや漁業データに係る業界の関係者、そして当該分野における日米の先駆者など、およそ60人が参加した。
2. 背景
2020年12月に施行が開始された2018年の改正漁業法は、同法が完全に施行される2024年までに、漁獲量の80%をTACで管理することを求めている。また、同時期までに科学的に資源評価する種の数を現在の100種から200種へと大幅に増やすとしている。FRAの科学者は、この新しい法律に対応する一つの試みとして、AIなどの最先端のツールを使用により漁業に依拠するデータ収集の効率化と省人化が図れるのではないかと期待している。また、加工業を含む水産業界は、魚の自動選別機を導入によって、人手の大幅な減少に対応したいと考えている。FRAは、AI技術を搭載した自動選別機の導入を支援することで、水揚げされた魚の詳細な生物学的データの収集につなげたいと考えている。このような技術導入は、海洋情報、市場情報、漁獲情報など様々なデータの流れを統合的に収集・合成することにより効率・価値・生産の向上を目指す日本のスマート漁業の発展にとって重要な構成要素となり得る。
3. 目標
- FRAが資源評価を行うためのデータ収集を強化するツールやアイディアの共有
- 日本と米国または世界の水産科学者や技術専門家との継続的な関係の構築
- コラボレーションのための潜在的な機会の特定
- さらなる研究や今後のワークショップの論点の特定
4. 講演プログラム
開会挨拶
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シェムズ ジュッド (EDF, 海洋・漁業プログラム日本ディレクター)
講演
- 大関芳沖(国立研究開発法人 水産研究・教育機構)
「水産研究分野における画像解析技術開発ニーズ 最近の水産施策に関連して」[スライドPDF, 5.1MB] - ジェイソン・M・コープ(NOAA水産業ノースウエスト 水産科学センター)
「漁業管理支援における資源評価の選択肢 米国事例参照」[スライドPDF, 1.4MB] - ジェン ネン・ウォング(ワシントン大学 電気コンピューター工学学科)
「スマートオーシャンに向けた水産業のエレクトロニック ビジュアル モニタリング」[スライドPDF, 3.9MB] - トッド・ゲダマキ(MERコンサルタンツ), ビル・ハートフォード(ネイチャー アナリティックス)
「小規模漁業仕様の賢い測定基準とデータ・ソルーションの開発」[スライドPDF, 4.7MB] - ベン・ウッドワード(CVison AI)
「北東部底魚漁業における魚の自動分析:エレトロニック モニタリング プログラムを サポート画像処理と機械学習のライブラリ構築」[スライドPDF, 2.4MB] - クレイグ・ローズ(フィッシュネクスト・リサーチ)
「アラスカ水産業 エレクトロニック・モニタリング・イノベーション(EMI)プロジェクト:自動漁業モニタリングの開発―加工工場からの混獲報告の検証」[スライドPDF, 2.0MB]
閉会挨拶
- シェムズ ジュッド