水産と海洋

Fisherman piloting his boat out to sea
Bird's eye view of the Cuban coast
Two people using technology for fisheries and climate-resilient oceans
 

EDFの水産・海洋プログラムは、漁業コミュニティに活力を与え、生物多様性と海洋生態系の健全性を改善することを目指しています。乱獲や気候変動、その他の脅威から海を保護することは、世界中の人々の生活、滋養、文化、健全なコミュニティにとって非常に重要です。魚類と沿岸コミュニティがともに繁栄している”健全な海”は、地球と人々のレジリアンスを高めるからです。

日本は、世界でトップ10に入る漁業大国であり、また、世界で6番目に長い海岸線と8番目に大きい排他的経済水域を持っています。日本には、豊かな食文化、伝統があり、長年にわたり、世界で最も高い1人当たり水産物消費量を誇っていました。また、日本には、何百年にも至るユニークで貴重な歴史を有する共同管理された漁業があり、それが、水産物の提供と人々の生活を担ってきました。そして、日本の漁業者は、その伝統的な手法と強い労働倫理で世界的に尊敬されています。しかし、日本における漁獲量は、過剰漁獲と海洋環境の変化が相まって、減少の一途を辿っています。同時に、若年層が沿岸コミュニティを離れ、他の形態の雇用を求めるにつれ、漁師の平均年齢が上昇しています。

EDFジャパンは、2016年から、日本の地方自治体、研究者、漁業者、関連団体などと提携し、こうした傾向を逆転させています。増大する気候変動の影響に対応できる、気候変動に強い漁業管理戦略の策定、2018年の改正漁業法の実施の支援、海域を移動する水産資源の科学的分析・管理を改善するための地域対話の創出、などを目指しています。簡単に言えば、その使命は、漁業者、科学者、水産資源管理者と協力して、漁業慣行と政策運営を改善し、漁業と漁業コミュニティが将来にわたって直面する課題への持続可能性と産業回復力の向上に務めること、です。EDFジャパンは、主要なステークホルダーとの協力の下、地域専門家からの情報や、高度な科学的分析情報に基づいて、革新的なソリューションを開発、提供します。

日本における重点分野を少し詳しく示すと、次のとおりです。

2018年の漁業法改正の支援

EDFジャパンは、ステークホルダーと協力しつつ、科学的分析に基づく漁獲枠の採用を通じて漁獲量の安定化と資源回復に焦点を当てた、改正漁業法の実施を確実なものにすることを目指しています。

気候変動に強い漁業管理モデルの構築

気候変動が漁業に及ぼす悪影響を防ぐ、あるいは緩和するための最善の戦略は、持続可能な漁業管理に移行することです。将来のビジョンを持ちつつ、地域関係者との協力の下に、漁業の対応能力を強化し、適応的な対応策の促進を目指します。

国際的な対話と協力の促進

EDFは、気候変動、TAC・漁獲枠プログラムの設計、資源量評価手法など共通の漁業課題に関する日本の他国への関与を支援します。

漁業における技術革新の推進

テクノロジーは、持続可能な漁業管理に不可欠なツールであり、データ収集の精度を向上させながらコストを削減できると考えています。

EDFは、地球の未来と日本の漁業・漁業コミュニティに希望を持っており、漁業者及びその他のステークホルダーと共に、健全で強靱な地球環境にとって不可欠である漁業者の生活と健全な海洋生態系を支援することにコミットします。こうした中、EDFは、ブルーカーボン、環境再生型養殖や、自然の力を活用した気候変動(NCS、natural climate solutions)関連プロジェクトへの関与も拡大して行きます。

最後になりましたが、EDFジャパンは、日本の多くの方々が我々の目標を共有し、野心的ながら不可欠であると考えられるビジョンに向かって共に歩んで行くこと、を願っております。